骨粗しょう症とは、骨量が減って骨の中身がスカスカになってしまう疾患です。
当然もろくなり、ほんのちょっとした衝撃でも骨折しやすくなってしまうのです。この疾患は特に更年期の女性に多く見られます。
更年期の女性が気をつけたい骨粗しょう症
骨量と女性ホルモンであるエストロゲンは、密接に関わっています。
更年期にはこのエストロゲンが減少し、体のさまざまな部分に影響を及ぼしますが、その中の1つに、骨量の低下があります。
その結果、骨粗しょう症を発症してしまうのです。骨折するリスクも高まるため、何とか早く対策を講じたいところですね。
そこで、骨の健康のために、ビタミンDの摂取をおすすめします。骨といえばカルシウムじゃないの?という声が聞こえてきそうですが、もちろんその通りです。
カルシウムは骨を作る材料ですから、欠かすことのできない栄養素です。しかし、ただカルシウムをたくさん摂っているだけでは、あまり意味がないのです。骨の健康を保ち、カルシウム摂取を意味あるものにするために、ビタミンDもまた、欠かせない栄養素なのです。
ビタミンDの働きと摂取方法
ビタミンDは名前の通りビタミンの一種で、脂溶性(油に溶ける性質)です。骨の材料となるカルシウムは腸から吸収され、やがて骨へと沈着していきます。
この吸収、沈着を促進してくれるのがビタミンDなのです。また、血液中のカルシウム濃度を一定に保つ働きもあります。このおかげで、筋肉を問題なく動かすことができ、転倒予防などにもつながります。
ビタミンDを取り入れる方法は、実は食事だけではありません。ビタミンDは日光(紫外線)を浴びることによっても皮膚で生成されます。ですので、食事だけでなく、運動もかねて日中にお散歩に出られるととても良いでしょう。
体調が悪く外に出られない時は、おうちで日光浴するだけでもOKです。冬は紫外線量が少ないため、普段以上に積極的にビタミンDの多い食品を摂取するよう心がけましょう。
ビタミンDが含まれる食品
ビタミンDは魚やきのこ類に多く含まれています。
- イワシ丸干し1尾…15.0μg
- さんま1尾…14.9μg
- 鮭切り身1切れ…25.6μg
- しらす大さじ2杯…6.1μg
- ぶり1切れ…6.4μg
- 干しシイタケ1個…0.4μg
- きくらげ2枚…1.7μg
などがあります。
魚はビタミンDだけではなくカルシウムも多く含まれているので、毎日食べられると理想的です。
1日の摂取目安量は5.5μgです。上記の食品を見てみると、おかずで魚を、小鉢や汁物などにきのこ類を使用すれば十分にビタミンDを摂取できそうですね。
ビタミンDを食事からとるときのポイント
ビタミンDは上記の通り脂溶性です。調理する際に油を使うと効率よく摂取することができますので、焼く、炒める、揚げるなどの調理法がおすすめです。
魚を選ぶ時は、骨ごと食べられるのが効果的です。骨も一緒に食べられれば、その分ビタミンDだけではなくカルシウムも同時に摂取することができます。
イワシ丸干しやしらすは頭から尾まで丸ごと食べられますし、さんまは圧力鍋(ご自宅になければ普通の鍋でも大丈夫です)などで煮たり、揚げたりして食べるととても美味しいですよ。
鮭やぶりもあら煮などであれば骨まで食べられますが、切り身を調理して食べるのが一般的ですので、焼いたり煮たり、もちろん生でもどんな食べ方でもOKです。
きのこ類も、魚と同じく油を使った調理法がおすすめです。マリネにして野菜などと一緒に食べると、バランスよく満足感も得られます。しかし、毎日脂っこいものばかりでは体脂肪が付いてしまったり、動脈硬化や脂質異常症などの疾病につながってしまったりする恐れもあるので、適度に取り入れるようにしましょう。
全ての栄養素にいえることですが、極端に偏ることはとても危険です。また、きのこは干したものを買うのがおすすめです。日光(紫外線)を当てることで、きのこにもビタミンDが生成されます。生のものでも、使う前に一度天日干しすると効果がアップします。
更年期の女性に見られる骨粗しょう症は、ビタミンDを食事から、また日光浴などから取り入れることで多くのメリットをもたしてくれます。しかし、骨を作る栄養素はカルシウム、そしてビタミンK(納豆などに多く含まれます)などが相互に関連して骨の健康を守ってくれます。
骨粗しょう症が気になる方、予防したい方はこれらの食品も併せて摂取したいですね。ただし、リン(インスタント食品、加工食品に多く含まれます)を摂りすぎてしまうとカルシウムの吸収を妨げてしまうので注意しましょう。