更年期に入ると、女性は多くの症状に悩まされます。
身体的なものから精神的なものに至るまで様々です。さらに軽い症状の人、重い症状の人など、個人差が大きいのも特徴的です。
この時期に、もう1つ気を付けていただきたいのは「貧血」です。
実は貧血は、更年期特有の症状ではなく、女性には幅広い年齢層で悩まれているものの1つです。10~20代の頃から悩まれている方も少なくないと思います。
ちなみに貧血とは、血液の中で酸素を体中に運ぶ役割を持つ赤血球が、鉄不足によって低下してしまい、酸素が不足してしまう疾患です。症状としては、ふらつきやめまい、肩こりや頭痛など更年期の症状と重なるものもあります。
では、貧血にはどんな栄養素が必要でしょうか?いくつかありますが、今回は葉酸についてご紹介したいと思います。
葉酸と聞くと、妊娠に関連するものと連想される方がいらっしゃるかもしれません。妊娠中の方にとっては赤ちゃんの健康な発育に欠かすことができず、さらにこれから妊娠を望む方も積極的に摂りたい栄養素として有名です。
しかし、それだけではなく、貧血にも関係しているのです。
更年期の女性が葉酸を摂るメリット
葉酸とはビタミンの一種で、水に溶ける性質があります。ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜、卵、鶏・豚・牛のレバーに多く含まれています。
先ほど貧血の説明をしましたが、赤血球を正常に形成するために葉酸は必要不可欠です。同じ働きを持つビタミンB12と合わせ、「造血のビタミン」と呼ばれているくらいなのです!
実は葉酸は、貧血だけに良いわけではありません。最近の研究により、動脈硬化の危険因子といわれている血清ホモシステインというものの増加を抑制してくれる効果が注目されています。
動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患を起こす引き金になるため、気を付けなければなりません。
更年期の女性は、女性ホルモンの分泌が減少することで動脈硬化を始めとした糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病へのリスクが高まっています。そんな時には、ぜひ葉酸を食事に取り入れたいですね。
葉酸の摂取量の目安
葉酸の1日の摂取目安量は240~1000μgです。平成29年に実施された国民健康・栄養調査では、男女ともに過不足なく摂取できていることが分かっています。
ですので、不足を心配するよりも、今まで通り毎日摂取できるよう、意識することが大切です。葉酸を多く含む食品には植物性のものと動物性のものがあるので、それぞれお示ししていきます。
植物性のものは、
- ほうれん草約1/2束(100g)…210μg
- 枝豆80g…140μg
- アスパラガス3本(60g)…114μg
- ブロッコリー2房(50g)…105μg
- カボチャ100g…75μg
- 納豆1パック(50g)…60μg
- いちご中5粒で(75g)…60μgです。
季節を選ぶものもありますが、ほとんどがいつでも手軽に購入できる食材ばかりですね。
続いて動物性のものは、
- 鶏レバー(50g)…650μg
- 豚レバー(50g)…405μg
- 牛レバー(50g)…500μg
- 生うに(100g)…360μg
- うなぎの肝(100g)…380μg
- 卵1個(50g)…22μg
となっています。こちらは少々高価な食材も並んでいますね。また、好みが大きく分かれるものが多いかもしれません。
葉酸を摂取するポイント
葉酸は水に溶ける性質があると同時に熱にも弱いです。
ですので、加熱したものであればスープなどの煮汁も一緒に摂れるものをおすすめします。
野菜類であれば、そのまま食べられるものは生で食べるのも良いでしょう。焼く、蒸すなどの加熱調理は、必要最低限の時間で済ませられるとベストです。
納豆はそのまま食べられますし、葉酸だけではなく更年期の強い味方である大豆イソフラボンも含まれています。ちなみに枝豆はさや付きであれば葉酸も失われず、しかも冷凍保存もできるので夏の間は常備しておきたいですね。
動物性のものは、レバーや肝は当然加熱しなければなりませんが、卵は鮮度さえ良ければ生でも食べられます。動物性のものは葉酸の含有率が高いので、しっかり摂りたいと思った時にはとても良いでしょう。
さて、ここまで更年期の女性に見られる問題として貧血を取り上げてきましたが、貧血は葉酸だけ摂取していれば良いというものではありません。
赤血球の材料となる鉄分やたんぱく質、これらの吸収をアップさせるビタミンC、「造血ビタミン」の相方であるビタミンB12など、たくさんの栄養素が力を合わせることで貧血は改善していきます。
貧血にお悩みの方は、鉄分だけを重要視しがちですが、その他にも種々の栄養素が協力し合っています。ぜひ今日ご紹介した葉酸にも注目してみてくださいね。そして、何か1つの食材や栄養素だけにこだわりすぎず、かといって何かを徹底的に排除することもなく、バランスよく様々な食材を組み合わせながら食べられることが理想的です。